公開日:2022/03/15
ローコスト住宅とは、一般的な注文住宅に比べ安い価格で建築できる住宅です。限られた予算内で住宅を建てたい方におすすめの建築方法といえます。しかし安い分、耐震性や性能について気になる方も多いでしょう。そこでローコスト住宅が安く建築できるのはなぜか、安全かどうか、また耐震性・耐久性の目安などについて解説していきます。
一般的な注文住宅に比べると、比較的安価で建築できるのがローコスト住宅です。限られた予算で戸建てを建てたいと思っている方にぴったりの建築方法といえるでしょう。ローコスト住宅は、全国的なメーカーや工務店で展開されています。
一般的な住宅を建築する場合の坪単価は、50~60万円ぐらいですが、ローコスト住宅の場合の坪単価は30~50万円程度です。家の広さにもよりますが、建築費にだいぶ差が出ることは間違いありません。ではなぜ安いのかというと、ローコスト住宅は人気のある間取りの何通りかのプランから選ぶことがほとんど。
フルオーダーの注文住宅に比べ自由度は少ないですが、規格が決まっているため、コストを抑えることができてローコストで住宅を建てることができるのです。ローコスト住宅の安さは、材料費、人件費、広告費、プランの4つを見直している企業努力により実現が可能しています。
さらに、間取りを規格化することで購入する部材や設備の種類も限定し、大量仕入れすることで材料費の値段を下げているのです。同じようなプランで住宅を複数建てることにより、作業効率がアップするので、人件費を削減することも可能。規格の決まった材料は、工場でまとめてプレカットし、現場での組み立てを省力化している会社もあります。
ローコスト住宅では大々的に広告することはせず、テレビCMをするときもローカル放送のみで流すなどで広告費用を削減。部屋数を減らすことで、ドアや照明、コンセントの数を減らすなど、間取りや設備を工夫し、設計段階でもコストカットをしているのです。
前述したように、ローコスト住宅は価格が安いからといって建材の品質が悪かったり、工事で手抜きがあったりするわけではありません。ローコスト住宅だとしても、きちんと建築基準法をクリアした住宅ですので安全だといえます。
また、長期優良住宅という「長期にわたって安心で快適に暮らせる家」と国から認められた住宅の認定を受けられるローコスト住宅もあります。国が定めた基準をクリアしているため、税制面などの優遇措置を受けられるというのもメリットといえるでしょう。ハウスメーカーにもよりますが、オプションで長期優良住宅認定基準をクリアできる仕様に変更できる会社もあります。
長期優良住宅には、耐震等級2以上の性能が求められますが、ローコスト住宅はそのほとんどが耐震等級2です。耐震等級3相当のローコスト住宅もあるので、長期優良住宅を目指すことができるでしょう。ただし、耐震性や断熱性などには費用をかけ高性能にし、シンプルにできるデザインなどでコストを抑えるなど、予算配分に工夫が必要となります。
前項で少し触れましたが、耐震性能を評価するための、建物の強さを3段階で表す耐震等級があります。「耐震等級1」「耐震等級2」「耐震等級3」の3段階で、耐震等級3がもっとも高い耐震性です。耐震等級1は、「震度6強から震度7程度の地震に対して倒壊や崩壊しない」「震度5程度に対しては住宅が損傷しない」という耐震性能を最低限満たしていることを表します。
耐震等級2は「等級1で想定される1.25倍の地震」を目安として病院や学校に求められる耐震性です。耐震等級3は「等級1で想定される1.5倍の地震に対して倒壊や損傷しない程度」を目安として、警察署や消防署に求められる耐震性になります。
ローコスト住宅は、そのほとんどが耐震等級2。なかには耐震等級3相当のローコスト住宅もあります。しかし、選択したプランや間取りをオプションで変更する場合などは、耐震等級が下がることもあるので注意が必要です。また、耐震等級2が標準仕様のローコスト住宅を、耐震等級3にする場合は別途費用が発生することがあります。
ローコスト住宅は、耐震性・耐久性などが低いと思っている方もいますが、材料費、人件費、広告費、プランなどのムダをはぶき、値段を安くしているのです。そのため、構造や強度などの安全性はもちろんのこと、耐久性もしっかりと確保されています。信用できるハウスメーカーや工務店が手がけたローコスト住宅なら心配ないといえるでしょう。
ローコスト住宅ということで安全性や耐震性、耐久性に不安を持つ方もいます。しかしローコストの理由は、材料の大量仕入れや作業の効率化などによるものであり、品質には影響しない部分でのコストカットです。フルオーダーの注文住宅に比べると自由度は少ないですが、間取りや設備などの希望は明確にしたうえで家づくりを始めれば、ローコストで理想のマイホームを手に入れられるでしょう。