外壁の「サイディング」とは?塗るより安いってホント?
近年、住宅の外壁に多く採用されている「サイディング」。よく聞く言葉ではありますが、実際はどのようなものなのでしょうか?今回はサイディングの詳しい説明とともに、サイディングをどれくらいの周期でメンテナンスすべきなのか、サイディングを選択することで費用は安く済むのかなど、サイディングについて幅広く解説します。
サイディングとは
最初に、そもそもサイディングとはどういうものなのかを説明します。サイディングは建物の外壁に使用する板材のことです。
大きく分けて、外壁の施工には塗り壁による「湿式」と、サイディングによる「乾式」があります。両者は根本的に大きく異なり、湿式は下地の上に土や漆喰を塗って施工するものですが、乾式はパネル状のサイディングボードをカットして貼り付け、隙間を埋めていって完成させるというものです。
サイディングには以下の4つの種類があります。
■窯業系サイディング
セメント質の素材と繊維質の素材を混ぜ合わせて作られていて、比較的安価ということもあり、現在の一般住宅における主流はこの窯業系サイディングとなっています。窯業系サイディングは火に強い性質を持っているうえ衝撃に対する耐久性もあるので、地震大国の日本には打ってつけの素材です。
また、デザイン性が豊富で、シンプルなものはもちろん、タイル調やレンガ調のものなど、好みに合わせてたくさんの種類から選ぶことができるのも魅力の1つです。
■金属系サイディング
名前の通り、ガルバリウムやアルミニウム、ステンレスといった金属製の素材で作られているサイディングとなります。金属を用いることで、前述の窯業系サイディングよりも強度があり、耐水性が優れていることが特徴です。またメンテナンス性も優れており、長期間メンテナンスの必要がありません。
スタイリッシュな見た目の住宅に使用されることが多く、無機質な質感が特徴的ですが、最近ではデザイン性も増してきており、金属系サイディングでもレンガ調に見えるものなども製造されています。ただし、やはり素材が金属なので窯業系サイディングに比べて価格が高くなってしまうことがネックです。
■木質系サイディング
天然木の上に塗装を施したサイディングです。木の魅力はなんといってもその自然な風合いですよね。天然木を使うことで他とは違った温かみのある外観にできます。
ただ素材の性質上、どうしても水に弱く、他のサイディングに比べて耐久性では劣るうえ、小まめなメンテナンスも必要になります。価格も高めです。しかしやはり木にしか出せない魅力というものはあるため、一定の需要があるサイディングとなっています。
■樹脂系サイディング
日本で主流となっている窯業系サイディングは目地と目地の間に必ずシーリングといわれる「つなぎ」の役目が必要ですが、樹脂系サイディングにはシーリングが必要ありません。シーリングは年月が経つにつれて劣化したり剥がれてしまったりするものなので、そのシーリングを使わないということが樹脂系サイディングを採用する最大のメリットといえます。
薄く設計されていて軽いので、家への負担も減らすことができますが、その分遮音性は低く、住宅同士が密接して建っている日本では不向きなことが多いです。
サイディングのメンテナンス周期
外壁というものは常に風雨や太陽光に曝され続けているため、どうしても経年劣化が避けられません。サイディングでもそれは同じです。環境にもよりますが、5~10年に1度は再塗装が必要でその後、25年前後でサイディング自体の張替えを行うのが一般的です。
また、シーリングも同じように劣化していくので、状況に応じて打ち替えを行う必要があります。見た目にひび割れやうねりなどの変化があった時はもちろんですが、手で撫でてみて粉が付着したらサイディングのメンテナンスの時期が来ている証拠です。業者による定期的な点検と共に、日ごろから自分でもチェックするようにしましょう。
塗るより安い?実はサイディングでも外壁塗装が必要!
一般的にいわれている通り、サイディングを選択することで塗り壁よりも初期費用は抑えられます。しかし、前述した通りサイディングも劣化していくもののため、メンテナンス費用はかかります。そのため、少しでもメンテナンス性を高めるために、サイディングの上から塗装を施すのがおすすめです。
サイディングボードの種類によって塗料の見極めは必要ですが、きちんと適したものを使用すればサイディングの防水性を高めることができ、長い目で見ると、塗装をしていないサイディングボードと比べて劣化を抑えられるうえ、結果として不具合も少なくなります。
サイディングには魅力がたくさんあり、そのため今では多くの住宅でサイディングが採用されています。自分のニーズに合ったサイディングを選ぶことと、そのサイディングに応じた適切なメンテナンス時期や方法を知ること、また場合によってはサイディングに塗装を施すことで、その性能をより長く保つことができるようです。